Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
ともかくも半蔵が帰宅のかなうことを知って、さらに心配一つふえたように思うのはお隅である。というは、亭主多吉が町人の家に生まれた人のようでなく、世間に無頓着で、巡査の言い置いて行ったような実際の事を運ぶには全く不向きにできているからであった。多吉の俳諧三昧と、その放心さと来たら、かつて注文して置いた道具の催促に日ごろ自分の家へ出入りする道具屋源兵衛を訪ねるため向島まで出向いた時、ふと途中の今戸の渡しでその源兵衛と同じ舟に乗り合わせながら、「旦那、どちらへ」と聞かれてもまだ目の前にその人がいるとは気づかなかったというほどだ。「旦那、その源兵衛はおれのことじゃありませんか」と言われて、はじめて気がついたというほどの人だ。お隅はこの亭主の気質をのみ込んでいる。場合によっては、彼女自身に夫の代理として、半蔵が身柄を引き取りに行こうと決心し、帯なぞ締め直して亭主の帰りを待っていた。はたして、多吉が屋外から戻って来た時は、お隅以上のあわてかたであった。
「お前さん、いずれこれにはわけのあることですよ。あの青山さんのことですもの、何か考えがあってしたことですよ。