Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
九月にはいると、お粂が結婚のしたくのことについて、南殿村の稲葉の方からはすでにいろいろと打ち合わせがある。嫁女道中も三日がかりとして、飯田泊まりの日は伝馬町屋。二日目には飯島扇屋泊まり。三日目に南殿村着。もっとも、馬籠から飯田まで宿継ぎの送り人足を出してくれるなら、そこへ迎えの人足を差し出そうというようなことまで、先方からは打ち合わせが来ている。
「お粂、よい晴れ着ができましたよ。どれ、お父さんにもお目にかけて。」
お民は娘のために新調した結婚の衣裳を家の女衆に見せて、よろこんでもらおうとしたばかりでなく、それを店座敷にまで抱きかかえて行って、夫のいる部屋の襖に掛けて見せた。
男の目にも好ましい純白な晴れ着がその襖にかかった。二尺あまりの振袖からは、紅梅のような裏地の色がこぼれて、白と紅とのうつりも悪くなかったが、それにもまして半蔵の心を引いたのは衣裳全体の長さから受ける娘らしい感じであった。卍くずしの紗綾形模様のついた白綾子なぞに比べると、彼の目にあるものはそれほど特色がきわだたないかわりに、いかにも旧庄屋風情の娘にふさわしい。色は清楚に、情は青春をしのばせる。