Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
不幸にも、これほどお民の母親らしい心づかいからできた新調の晴れ着も、さほど娘を楽しませなかった。余すところはもはや二十日ばかり、結婚の日取りが近づけば近づくほど、ほとほとお粂は「笑い」を失った。
七
青山の家の表玄関に近いところでは筬の音もしない。弟宗太のためにお粂が織りかけていた帯は仕上げに近かったが、機の道具だけが板敷きのところに休ませてある。お粂も織ることに倦んだかして、そこに姿を見せない時だ。
お民は囲炉裏ばたからこの機のそばを通って、廊下つづきの店座敷の方に夫を見に来た。ちょうど半蔵は部屋にいないで、前庭の牡丹の下あたりを余念もなく掃いているところであった。
「お民、お粂の吾家にいるのも、もうわずかになったね。」
と半蔵が竹箒を手にしながら言った。
なんと言っても、人一人の動きだ。娘を無事に送り出すまでの親たちの心づかいも、容易ではなかった。ことに半蔵としては眼前の事にばかり心を奪われている場合でもなく、同門の先輩正香ですらややもすれば押し流されそうに見えるほど、進むに難い時勢に際会している。この半蔵は庭下駄のまま店座敷の縁先に来て腰掛けながら、