Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆめはよびかわす
夢は呼び交す
蒲原 有明
Lesen Sie 夢は呼び交す (ゆめはよびかわす) von 蒲原 有明 (かんばらありあけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.126 Zeichen · 210 Bildschirme
いつもの通り座敷を掃除させて、机の前に端坐し、そして向うを眺めて好い気持になっている。端坐するということは、鶴見にはいつからか癖になっているので、厳格な意味でわざわざそうするのではない。一つは子供の時からの家庭の躾によるのであるが、父が言葉少なに忍耐を教えた指導法が、どんなにストイックなものであったかはさて措いて、そうするのが、つまり彼には勝手になっていたからである。長時間坐っているのには、あぐらを組むよりも正坐が好ましい。合理的でもある。鶴見はそう思って、机に向うときはいつも正坐をする。書見をするにも体が引締められて、まともに本が読める。長年にわたるそうした経験が今ではならわしとなって身に附いているのである。
鶴見は障子を開け放ったまま、朝の空気を心ゆくばかり静かに吸っていた。そしてこう思った。爽やかな空気なら遠慮なくたっぷり吸える。いくら吸っても尽きることはない。乏しい煙草をがつがつ吸うよりも遥に増しだと思っているのである。
彼も若い頃は一廉の愛煙家であったに違いない。少し喫み過ぎたと気が附いて、止めようとして、初手は誰でもする代用品を使ってごまかした。