Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆめどのさつじんじけん
夢殿殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 夢殿殺人事件 (ゆめどのさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.755 Zeichen · 55 Bildschirme
所が、図書掛りを勤めているこの天使のような女は、事件当時経蔵にいた旨を述べ終ると、推摩居士の死因に就いて、驚くべき説を云い出したのである。
「推摩居士は、御自分で美しい奇体な墓場をお作りになって、その中で、仮死の状態に入られたのではないかと思いますわ。やがて屹度、あの方は蘇えるに違い御座いません。それから、浄善さんの死因に就いては、智凡さんが確かりした説を持っていらっしゃいますが」
「なに仮死ですって。たしか貴女は、いま仮死と云われましたね」検事は眼を円くして聴き咎めた。
「左様で御座います。現実その証拠には、内臓が損われて居りませんし、また、事実些程の出血がなかったにも拘らず、てっきり大出血を思わせるような虚脱状態が現われて居ります」と寂蓮尼はキッパリと云い切ってから、「そうしますと貴方は、ハニッシュの天啓録をお読みにはならなかったのですね。瑜珈式呼吸法は? ベエゼルブブの呪術は? ダルヴィラやタイラーの著述は如何で御座いますか」
「遺憾ながら、いずれもまだ読んでは居りません」と法水は、アッサリ、ブッ切ら棒な調子で答えたけれども、続いて俄然挑むような態度に変って、「所が寂蓮さん、もう後六時間と経たぬ間に、推摩居士の内臓は寸断されなければならないのですよ」