Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆめどのさつじんじけん
夢殿殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 夢殿殺人事件 (ゆめどのさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.755 Zeichen · 55 Bildschirme
然しその現象は、網扉が眼前から去ると同時に、当然止むだろうと思うでしょうが、事実は、その後も暫く続いて居りました。多分、視軸に影響して廻転が続くので、それにつれて、やはり以前通りに動いたのでしょう。すると、眼前の十一面千手観音にどう云う現象が起ったと思いますね。臂を上方に立てている肩口の七本と、下に向けている腰辺の四本が……、各々が一本の手になってしまって、その手を左右に振っているかのような錯視が現われたのです。つまり、残像の列と符合している縦の線が、目撃者に動いたように見えたからなんですが、同時にそれにつれて、全身の線や襞が、不気味な躍動を始めて来ました。ですから、僕がそれと気が付いた時、これが密室を開く鍵ではないかと思ったのですよ。けれども、発見当時の刻限は恰度反対でして、生憎※(「木+需」、第4水準2-15-67)子窓から陽差が遠ざかっていたのです。ですから、改めてそこに、新しいフィルターを探さねばならなくなりました。所が、画像に運動感を与え、一人の白衣を被った人物を、その眩影の中に隠してしまう――と云う不可思議な作用が、階上にある浄善の屍体の中にあったのですよ」