Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆめどのさつじんじけん
夢殿殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 夢殿殺人事件 (ゆめどのさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.755 Zeichen · 55 Bildschirme
そして、その肩口をハッシと受け止めたと云うのが、残り二側の玉幡だったのだよ」
「そうすると、傷の両端が違っているのは?」
「それでは支倉君、硬度の高い割合に、血液のような弱性のアルカリにも溶けるものを、君は幾つ数える事が出来るね。例えば、烏賊の甲のような、有機石灰質を主材に作ったとしたら、その鉤は血中で消えてしまって、脱け出した時には、それが繍仏の硬い指尖に化けてしまうだろう。然し、その変化の中に、驚くべき吸血具が隠されていたのだ」そうして、法水の推理が愈眼目とする点に触れて行ったが、その真相を聴いた検事は、思わず開いた口が塞がらなかった。どうしてあの時、曼陀羅を一本だけでも切ってみなかったのだろうか。
「つまり、一番複雑に思われるものが一番簡単なんだよ。あの曼陀羅を作った原植物と云うのが、毬華葛の干茎だからさ。シディの呪術には、あの茎とテグス植物の針金状の根とが、非常に巧みに使われていて、それを馬鹿な馬来人が驚いている始末だがね。あの茎の内部にある海綿様繊肉質は血であろうと何んであろうと、苟しくも液体ならば、凡て容赦しない。つまり、あの曼陀羅と云うのは数千本の茎を嵌め込みにした結び目なしのものなんだから、その最後の一寸にまでも、繍仏の指頭から推摩居士の血液を啜り込む事が出来たのだよ。