Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おとなのめとこどものめ
大人の眼と子供の眼
水上 滝太郎
Lesen Sie 大人の眼と子供の眼 (おとなのめとこどものめ) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.719 Zeichen · 10 Bildschirme
自分ははしたない所為を恥じて一散に逃出した。
ついに自分も大人になった。しかし、あれほどまでに崇拝した大人が、いかに馬鹿馬鹿しいものであるかをとうに知ってしまった。あらゆるものに驚嘆し、すべてほんとにある物よりも、大きく、立派に美しく見る子供の眼を失ったことを悲しみ、永い間、その子供の頃の思い出以外のものは、心から自分を喜ばせることが出来なかった位落胆した。
言葉をかえていえば、盲目的な憧れの美しさに酔った自分をなつかしみ、実際の世の中の美しくない事に悲観し、著るしく懐疑的になったのであった。
ところが最近になって、自分には更に新しい眼が開かれて来た。それは完全に発達した大人の眼である。徒らに物事に驚かず、よきものと悪しきものの区別を知り、あらゆるものの価値を正当に批判し、しかもなお熱情をもってよきものを喜ぶ大人の眼が、無批判の憧憬讃美を事としていた単純極まる子供の眼にまさる喜びを持つことを悟って来た。
それは物の本体を見極める眼である。価値批判の眼である。単に生々しい色彩に眼を眩まされるのではなく、光と共に陰影を見る眼である。単に事物の分量に驚くのではなく、その質を吟味する眼である。