Japanische Klassiker mit Furigana
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おおえどおうごんきょう
大江戸黄金狂
野村 胡堂
Lesen Sie 大江戸黄金狂 (おおえどおうごんきょう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.754 Zeichen · 53 Bildschirme
「御坊」
「約束事じゃ、大久保石見守の子孫の末、七万両の金が身近にあると聴いて、理窟をつけて引寄せられた愚僧に、私心は無かったにしても、出家の心構えでは無かった」
「御出家様」
千貫の岩に挟まれて、腰から下を泥のように砕かれた雲水空善の手を取って、白糸のお滝は泣くのです。
「石坂左門次の子孫も可哀想であった、が、海道丸は才智に任せて敵を討ち過ぎた、あれ」
空善のふるえる指先の方を見ると、天上の大岩と一緒に落ちた海道丸は、その岩にひしがれて、襤褸布のようになって死んで居るではありませんか。
「解ったか、お滝殿、山浦氏、これが因果の理法だ――仲よく暮されい、――お二人だけが許されたのだ」
「御坊」
「もうお別れじゃ、さらば」
二人の縋るに任せたまま、手を合せて仏の名を称える空善の声は、次第に四方の蟲の声に没して行きます。
七万両の黄金が、江戸へ持出されて何うなるか、それにもいろいろ話がありますが、暫く私は、箱根の夜の伝奇に止めようと思うのです。