Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

変だと思ったよ」

「そうかなあ」

道庵にいわれて米友が、改めてその文字を読み直してみると、なるほど、海土蔵と書いて、海老蔵と読ませるようにごまかしてある。しかし、米友はごまかしてあったところで、ごまかしてなかったところで、道庵先生ほどにそれをおかしいとも悲しいとも思いません。

というのはこの男は、まだ生れてから芝居というものを見たことのない男ですから、海老蔵が海土蔵であろうと、海土蔵が江戸ッ児であろうとも、大阪生れであろうとも、いっこう自分の頭には当り障りのないことですから、「そうかなあ」で済ましてしまいました。

これには道庵も張合いがなく、さっさと歩き出して、テレ隠しに、一谷嫩軍記の浄瑠璃を唸り出しました、

「夫の帰りの遅さよと、待つ間ほどなく熊谷の次郎直実……」

変な身ぶりまでして歩くほどに、やがて蓮生山熊谷寺の門前に着きました。

道庵と米友は蓮生山熊谷寺に参詣して、熊谷次郎直実の木像だの、寺の宝物だのを見せてもらい、門前の茶店へ休んで、名物の熊谷団子を食べておりますと、そこへ若いのが四五人入り込んで来て、同じように熊谷団子を食べながら、威勢のいい話を始めました。