Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
与八が道場で彫刻をしている時、お松は母屋の座敷で、机によりかかってお手本を書いておりました。
お手本というのは、ここの道場の学校に来る子供たちのために、西の内の折本をこしらえて、お松がそれに「いろは」と「アイウエオ」から始めて、村名尽しに至るまで、それぞれ筆を染めているのです。
子供たちのためにお手本を書くのみならず、このごろでは、娘たちのために古今集を書いてやったり、行儀作法を教えたりすることもあるのです。好んでお松が、人の師となりたがるわけではないが、お松は日頃の心がけもあり、ことに相生町の御老女の家にある時、念を入れて字を習いましたものですから、なかなか見事な筆跡です。またその時に作法や礼式も心がけていましたから、今も、知っている限りのことは、人に伝えるようになったのです。
人に物を教えるということもまた、自分を教育する一つの仕事になりますものですから、今、お手本を書くにしても、お松は一生懸命であります。
幸いなことに、登は乳母がついて来ていてくれるものですから、手数もかからず、郁太郎の方は、もう四つになろうというほどでもあるから、これも、さほど世話が焼けない上に、子守がついていますから、お松はこうして、教育(というのも大袈裟ですが)の方に身を入れることができるのであります。