Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
「お祈りの時の敷物でございます」
「ナニ、これを下へ敷いて、その上でお祈りをするのか」
「はい」
怖る怖る返事をするたびに、七兵衛がその婦人たちの横顔をうかがうと、町家のお内儀さんらしいのもあれば、武家出の女房もあるようだし、お妾さんらしいのもあるし、ことに意外なのは、妙齢の娘たちが幾人もいることです。これらの娘たち、何の意味で子供が欲しいのか、問題の役人にもわからないが、七兵衛にもわからない。
ところで、当の本尊の住職の行方はどうなった、問題の役人にはそれが気がかり。来ていたはずのお絹がここには見えない、それが七兵衛の気がかり。そこへ駈けつけた捕吏があわただしく、
「秘密堂の壇の下に、抜け穴がありました」
「ははあ、その抜け穴が……」
さてこそとこの連中が意気込んで、その抜け穴というのを検分に出かけたあとで、七兵衛はソロソロと天井裏を這い出して破風を抜け、いつか廊下の下へおり立って見ると、そこへあつらえたように置き据えられた朱塗の賽銭箱。しかも背負い出せといわぬばかりに紐までかけてある。
それを一揺りしてみた七兵衛は、行きがけの駄賃としてはくっきょうのもの、抜からぬ面で背中に載せると、燈籠の闇にまぎれてしまう。