Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

「その近所の人というのは、誰ですか御存じ?」

「知りません、私のいない間のことですから……」

「わたしも、そのお雪ちゃんとやらの行った温泉へ、行ってみたいと思うのですが、それは、あなたのおいでになろうとする山の方角とは違いますか」

「さあ、それが……私の行こうとする方面には、こころあたりの温泉がないのです」

「誰も、そのお雪ちゃんという娘さんの行った先の温泉を、知らないというのが不思議ではありませんか」

「知らないはずはありますまい、留守の人に尋ねてごらんになりましたか」

「尋ねてみましたけれど、誰も教えてはくれません」

「それでは、あとで私が尋ねてみて上げましょう、誰か知っていなければならないはずです」

そこで、兵馬は、少し進んでたずねてみようかと思いました。

いったい、この不思議な女の人は、誰をたずねてこの寺へ来たのだ。男の姿に身をかえてまで、一人旅をしてたずねて来たのは、どうもお雪という娘をめあてに来たのではないらしい。よくよくの深い仔細があればこそだろうが、今まで兵馬には、そんなことを立入って、たずねてみるほどの余裕がないのでした。

今となって、燈下にうつるこの女の呪わしき影法師を見ると、何か知らん、強くわが胸を打つものがあるように思われてならぬ……男装した女。