Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

お雪は人形の手を袖へ通して、

「けれども今はいけませんね、せめて春先にでもなってからでしょう」

「ところがいま登ってみたいのだ」

「この雪の深いのに……」

「左様……あの鐙小屋の神主が案内をしてくれるといいました」

「あの神主様が案内をして下さる? それだって、先生、今は行けやしませんよ」

「どうして?」

「どうしてとおっしゃったって……ここには雪はありませんが、外へ出てごらんなさい、山はみんな真白ですよ、吹雪でもあったらどうします」

「それでも、あの神主は、昨晩室堂へ泊って易々と帰って来た」

「そりゃ、仙人と並みの人とはちがいますよ、山で修行している人と、たまにお客に来た人とはちがいますもの」

「だから、その山で修行した人が先達をしてくれればいいわけではないか」

「そりゃそうかも知れませんが……わたしは女ですもの。それに先生……」

と言ってお雪は人形の衣裳の前を合わせ、

「あなたは、いったい、山登りをしてどうなさるの、いい景色をごらんになるわけではなし、朝の御来光を拝みなさるわけではなし……それこそ、骨折り損じゃありませんか。それよりは、おとなしく、炬燵に入って休んでおいでなさい、わたしが面白い本を読んでお聞かせしますから……」