Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

一人が叫び出すと、すべての眼の色が緊張する。

「一発ブッくらわしてみろ」

そこに獲物の影を認めて、早くも追出しの鉄砲を一発打つと、意外にも向う遥かに人の声、

「人間だよ、人間が一人いるから、気をつけておくんなさいよ」

三十二

そこで、熊狩りの一隊が呆れました。

彼等が呆れているところへ、お椀帽子を冠って、被布を着た旅の男が一人、のこのこと歩いてくるのは、「人間ですよ」と自ら保証した通り、人間が一人、抜からぬ顔をして現われて来ました。

「一体、どうしたんです、旅のお客さん、今時分こんなところを、どこから来てどこに行くのです……危ないこった」

と熊狩りが狩り出したその人間を取巻いて、詰問の体。

「わしどもは、旅の俳諧師でございましてね、このたび、信州の柏原の一茶宗匠の発祥地を尋ねましてからに、これから飛騨の国へ出で、美濃から近江と、こういう順で参らばやと存じて、この山越えを致しましたものでございますが……ふと絵図面を見まして、これよりわずかのところに白骨温泉のあることを承知致しましてからに、道をまげて、これよりひとつ、その白骨の温泉に温もって参らばやとやって参りました」