Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
、今も湯槽の中でその思出し笑いが止まらないのです。
三十三
さてまた弁信法師は一面の琵琶を負うて、またもうらぶれの旅に出でました。
ここは峡中の平原、遠く白根の山の雪を冠って雪に揺曳するところ。亭々たる松の木の下に立って杖をとどめて、悵然として行く末とこし方をながめて立ち、
「茂ちゃん、お前のいるところはわたしには、ちゃんとわかっているようで、それで、どうしても逢えないの。今も、わたしのこの耳に、お前が、わたしに逢いたがっているその声が、ようく聞えるんですけれども、わたしにはお前のいるところがわからない」
弁信は松の梢の上を仰いでこういいました。これはこの法師にとっては珍しいことではありません。いつでも、人なきところに人を置き、声なきに声を聞いては、それを有るものの如く応対するのが、このお饒舌り坊主の一つの癖であります。
「ですから、昨日もああしてお前に逢えないで過ぎました、今日も逢うことができないで暮れようと致します、明日はどうでしょう……どうかして、わたしはお前をたずねだして逢いたいと思うけれども、今日ここで逢えないように、明日彼のところで逢えないかも知れません、或いは今生この世で逢えないのかも知れません……といってわたしは、それを悲しみは致しませんよ、今生に逢えなければ後生で逢いましょ