Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

と刻んである。

それよりも、駒井の心をひいたのは、まだ新しい羅漢様の一つに「元名米商岡村ふみ」と刻まれた、その女名前が、妙に駒井の心をなやませました。

そこを少しばかりのぼってまた曲りにかかる。

その曲りかどで風が吹いて来ました。

その風の中からおりて来たのが妙齢の美人です。

駒井もゾッとしました。高島田に結って、明石の着物を着た凄いほどの美人が、牡丹燈籠のお露のような、その時分にはまだ牡丹燈籠という芝居はなかったはずですが、そういったような美人が、舞台から抜け出して、不意に山の秋風の中から身を現わしたのだから、駒井ほどのものも、ゾッとするのは無理もありません。

それだけではありません。見ればその娘の胸に抱えられているものがある。

娘が後生大事に抱えているそれを、よく見ると羅漢様の首でありましたから、駒井はいよいよ怪しみの思いに堪えることができません。

すれちがって、娘は曲りかどを下へ、駒井は立って見送っていると、一間ばかり行き過ぎた娘があとを振返って、駒井を見てにっこりと笑いました。

「これからお登りなさるの?」

「ええ」

駒井は物怪から物を尋ねられたように感じながら頷いて見せると、