Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme
といって竜之助は、右の指を一本出して刀を構える形をして見せますと、
「斬られないことにきまっているもんですか、刀を持っただけで、斬られないッてことがあるもんですか」
「それでも……こうしていれば斬れないものだ」
竜之助が横になりながら、右手の指を一本出している形に、お雪はゾッとしました。
「じゃ、あなたは剣術の名人なのですか」
「名人でも何でもないさ、人間が二尺の刀を持って、五尺の身体を守れないというはずはないでしょう」
「だって、先生、刀と物差とは違いましょう」
「そうですね、刀と物差は……」
竜之助は、お雪の比較を珍しそうに暫く考えていましたが、
「同じようなものでしょう、眼をつぶっていても、思う通りの寸尺に切ろうと思えば切れますからね」
「そんなことがあるものでしょうか……」
お雪もそれを考えさせられましたが、しばらくして気がついたように、
「そうそう、昔、裁縫の名人があって、年とってから眼がつぶれ、不自由をしたそうですけれど、ハサミを持つと、物差をつかわないで、一分一厘の狂いもなくたちものをしたという話を聞きました」
と言いました。
それそれ、おれは今でも刀を取れば、何人をものがさないのだと竜之助はいいませんでした。