Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme
槍を取って、件の鎧櫃を暫く見詰めていた神尾主膳。
お絹が差出した手燭の光が、神尾の心を野性的に勢いづけたようです。
「憎い奴、目に物見せてくれる」
この見せつけがましい鎧櫃一個がこの際、骨を劈いてやりたいほどに憎らしくなる。
「エイ!」
といって、鎧櫃の前の塗板の柔らかそうなところへ勢い込んで槍を立てると、難なくブツリと入りました。
それを引抜いて、また一槍、また一槍。ブツリブツリと槍を突き込み、突き滑らして後、神尾はホッと息をついて、槍の石突を取り直して、その穴をあけたところをコジて、次に、手をもってメリメリと引裂くと、穴は忽ちに拡大する。そこへ突きつけたお絹の手燭の光に、燦爛として目を眩ますばかりなる金銀の光。
神尾は槍を投げ捨てて、バラリバラリとその金銀を引出してはバラ撒き、掴み出しては投げ散らすものですから、暗澹たる座敷の中が、黄金白銀の花。
神尾は、燃え立つような眼付をして、手に任せては、金銀を掴み出して、四辺一面にバラ撒く。
一時、その光にクラクラと眩惑したお絹は、ついにその手燭を畳の上へさしおいて、両の手を以て、木の葉の舞う如く散乱する金銀を掻集めにかかります。