Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme
「お階段めぐり」
という声で、その周囲の連中がゾロゾロと立ち上る。立ち上っていいのか、悪いのか、わからないのは米友。相変らず熟睡の居眠りから醒めない道庵。
「先生!」
米友はそこで、道庵を呼び起しました。
道庵を促してお階段めぐりも終り、やがて廊下へ出て御拝の蔭で草鞋を履いている道庵と米友。ことに米友は草鞋がけが渡し場の水でしめって少し堅いから、足へはめるのに多少の苦心を費していると、その頭を上から撫でて通るものがある。
米友、ひょいと振仰いで見ると、ただいま自分の頭を撫でて通ったのは、気品の高い一人の若い尼さんで、その周囲には数人の従者、相当年配の尼さんがついている。
人を撫でた真似をする尼さんだな、と思いながら米友が見送っていると、外陣から廊下階段へ溢れ出た善男善女が、その尼さんのお通り筋に並んで、一様に頭を下げてかしこまる。
若い尼さんは、その跪いて頭を下げている無数の善男善女を、いちいちその手に持てる水晶の珠数で撫でて行く。おれを撫でたのもあの珠数だな、と米友が思いました。
米友は、けげんな顔をしてそれを見送っているのに、善男善女は、仰ぎ見ることさえしないで、その尼さんに通りながら撫でられる時、一心に念仏の声を揚げるものもある。