Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme
「左様……」
「偽物に違いない」
「そう言われてみるとなあ」
「言われなくても、最初から、わかっていそうなものじゃないか、市川宗家の海老蔵ともあるべき身が、あんな無茶な芝居を打つと思うか」
「でも、地方に出ては、見物を見い見い、調子を下げるのかも知れない」
「以ての外……そうだとすれば、いよいよ以ての外だ、たとえ見物に目があろうが、なかろうが、芸を二三にするような奴は俳優の風上には置けない、況んや市川の宗家ともあるべき者に……丸山、こいつは偽物だ、われわれは一杯食わされたのだ」
仏頂寺弥助は勃然として怒り出したが、丸山勇仙はまだ半信半疑なのか、それとも、ここで仏頂寺をほんとうに怒らせては事になると考えたのか、
「待て待て、もう一幕見極めようではないか、今度の宗家十八番の勧進帳、これを見ていれば、それが格に合うか、合わないか、大概の素人目にもわかりそうなものじゃないか、もう一幕辛抱し給え……」
ところで、一方の道庵先生は悠然として、
「さて、今度はいよいよ市川宗家十八番の勧進帳とおいでなすったね。そもそもこの勧進帳というは……御承知の通り、これはお能から来たものですよ。