Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme
あの暗い森の下に、やはり温かい何物かがあって、この荒み果てた自分を迎えてくれようとするその懐し味こそ、なかなかに仇。故郷の山川は、やはり温かいものを持っているのに、それにしても、わがこの身の何という荒み方!
お銀様は留度もなく涙が流れました。その涙を拭おうとすればするほど泣けてたまりません。
呪われた自分、ひねくれたわれ。泥土のようにわれとわが身を蹂躙して慊らないこの身に、呪詛と、反抗と、嫉妬と、憎悪と、邪智と、魔性のほかに、何が残っている。
人は故郷へ帰るが、魂はどこへ帰る。
故郷はこの醜骸を迎うるに、温かき心を以てするとも、この傷ついた魂をいたわるものは、いずれにある。
お銀様は、そこに立って、ひた泣きに泣きました。涙の限り泣きました。
慈愛あって、その慈愛を信ずることのできない父の名を呼んで泣きました。
自分の形骸を壊して、こんな生れもつかぬ醜いものとして陥れたと信じている継母の名を呼んで、お銀様は泣きました。
ほとんど白痴に近い弟の三郎――やがて有野の家の当主となって、無意味なる財産のためにさいなまるべき弟の名を呼んで泣きました。
最初の愛人幸内の名を呼んで泣きました。