Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
「いや、どうも御苦労さまでした、それではまあ親方へよろしく」
「どうもはや、御苦労さまでした」
車力がそのまま車の棒を取上げる。檻の中へ入れられた子熊は輾転として、烈しく悲鳴を立てました。その時ずかずかと走せ寄った米友は、大八車の桟を後ろから引っぱって、
「まあ、待ってくんな、どうも罪だよ、見ていられねえよ」
と言いました。
「へ、へ、へ」
何ということなしに、一同がテレて、面を見合わせていると、米友は、
「どうも見ていられねえよ、子が親の遺身を恋しがるというのは人情だからなあ」
と言いました。この場合、人情というのは少しおかしい、正しくは熊情というべきでしょうが、それを訂正している余裕が米友になく、また集まっている人たちも、米友の権幕が意外に真剣なものだから、その言葉ちがいを笑っている暇がありませんでした。そこで米友は畳みかけて、
「それもお前、普通の遺身と違って、生皮なんだろう、それをお前、欲しがって離れられねえというのは人情だろうじゃねえか、人情を無視して、それを引裂こうなんて、どうしても罪だなあ」
米友が、その怪力で後ろから車の桟を抑えているものだから、前なる車力が、車を引き出そうにも引き出せません。