Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
夜具の中からこちらに寝返りを打った竜之助は、ぼんやりとした有明の燈の光に、自分の面を射させて、そうして、二つ並べた蒲団の一方に、夢にうなされているお雪を、こちらから呼んでみたところです。
「まあ、怖かった」
あたりを見廻したお雪は、狼狽と、不安との上に、茫漠とした安心の色を少し加えて、ホッと息をついたが、寝汗というもので、しとどと腋の下がうるおうていたのを快くは思いません。
「また、夢を見たね」
「夢なら夢でいいのですけれど、どうもこのごろは、夢と本当のこととがぼかされてしまって、つぎ目がハッキリしませんから、覚めても、やっぱり夢でよかったという気にはなれないから、いやになっちまいますね、まるで夢にからかわれているようなんですもの」
「夢がいいねえ、いつぞや、お雪ちゃんから聞かされた、白馬へ登った夢なんぞはよかったよ。拙者は今まで、ロクな夢という夢を見たことはないが、白馬へ登った夢だけは格別だ。あの時、あのままで、二人が白馬の上から白雲の上まで登って、永久に降りて来なければ、一層よかったろうに――あれから、また降りて来たばっかりに、畜生谷というところまで落されてしまうのか知らん」