Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme

Aozora Bunko

子熊は力を極めて、それに反抗しながら、やっぱり米友にすりつきたがっている。子熊とは言いながら熊は熊の力で、ほとんど大勢がもてあますほどの力で米友のところから、取去ることに反抗します。

米友には、それがどうしてもわからない。可愛ゆい奴には可愛ゆい奴に違いないが、大勢を振りきって、そうして特に自分にばかりなつきたがるこの熊の挙動がどうしてもわかりません。

米友自身に於ても、過去世は知らぬこと、生れて以来、熊に対して特別な恩愛を施してやったという陰徳のほども更に心当りがないのです。そうかといって、自分はまだ、猛獣をもなつき従わせるほどの聖人であるとも考えてはおりません。

米友のこの当惑を別にして、宿の大勢の者はようやくにして、この熊の子を取抑えて抱き上げると共に、米友に向い、

「お騒がせして全く恐れ入りました、つきまして、なおこのうえ恐れ入りますが、どうかそのお敷物をひとつ……」

「この敷物……この皮をかえ?」

「ええ、左様でございます」

「この敷物を持って行くのかえ?」

米友にとっては、今まで自分の体温の幾分を分ち与えたこの敷物、自分のものではないから、よこせといえばやらないとは言えないが、せっかくあたためて寝てるものを、持って行かなくってもよかりそうなものだとの、いささかの不平もないではありません。