Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme

Aozora Bunko

「金さんですか、お入りなさい」

難なく扉があいて身を現わしたのは、例によって野幇間まがいのゾロリとしたおっちょこちょいの金公でゲス。

忠作は本来、こいつはあんまり好まない奴であるけれども、自分がここに住込むことになったに就いては、お絹を通しての最も有力なる橋渡しの一人でもあるし、これが持ち込む情報がまた、外国人に取入る好材料となったりすることもあるし、また或る意味に於ては、お絹を代表して、忠作と共通みたような儲け口の組合員ともなっているのだから、こいつの、なれなれしくやって来るのを、無下に斥けることもできないようになっている。

身を現わした金公は、例によって、いや味ったらしい表情たっぷりで、早くも卓子の上のビール瓶に眼をつけ、いま忠作が代り目をつぎ込んで、まだ泡の立っているのを見ると、図々しく、

「これは乙りきでげすな、黄金色なす洋酒のきっすいを、コップになみなみと独酌の、ひそかに隠し飲み、舶来のしんねこなんぞはよくありませんな、金公にも一つそれ、口塞ぎというやつを――なあに、そのお口よごしのお流れで結構でげす……」

こう言って咽喉から手を、そのコップのところへ出したものです。