Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme

Aozora Bunko

それを考えているところへ、清澄の茂太郎がやって来ました。

三十七

茂公は例によって、般若の面を小脇にしながら、突然に船長室を驚かして、

「殿様」

「何だ」

「明日はいよいよ、仙台石巻の港へ着くそうでございますね」

「うむ」

「嬉しいな、石巻で、お米や水を積込んで、それから南洋諸島へ渡るんですってね」

生意気な! 南洋諸島なんていう地名を誰に聞いて来た。

「南洋諸島ときまったわけではない」

「どこでもかまいません、あたいは嬉しくてたまらない、涯りないこの海を眺めるのが好きです、アルバトロスもいます、鯨もお友達です、明日は仙台石巻へ着けば、そこに七兵衛おやじも待っていましょう、田山先生も乗込んでいらっしゃるでしょう、そうしてまたこの限りない大海原を乗り切って行くのが嬉しい、嬉しい」

「茂太郎、勉強しなさい、とにかく、これからみんなして気を揃えて新しい国を作るのだから、お前も歌ばかり唄っていないで、皆の手助けをして、よく働くことを覚えなくてはならない」

「働きますとも――今でも学問は、あたいが一番よく覚えます、それから、水夫さんの手助けでもなんでもして働いていますから、みんなから憎まれません」