Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.467 Zeichen · 168 Bildschirme

Aozora Bunko

お角は米友に向って、

「そういうわけなんだから、ありそうなことだよ、あの先生のことだから、こちらが気を揉むほど、あちらはお感じがない、お前、そうやきもきしないで、わたしと一緒においで、わたしはちょっとこの先の山吹御殿というのへお伺いをして行くから、荷物があるなら後からでいいよ、先生の方は、先生の方で何とかなりまさあね」

お角一行は米友にこう言い含めておいて、いわゆる山吹御殿の方へと急がせて行きました。

すべての人が散じて、取残された宇治山田の米友――

悄々として、熊の檻車のところまで戻って見れば、熊がキャッキャッと言って躍り上って米友を迎える。

「ガツガツするなよ」

と米友が言いました。

熊がキャッキャッと言って米友を迎えるのは、米友が無事で戻って来てくれたことを、なつかしがるわけではないことを米友はよく知っている。

この事件のために、食物をあてがう暇がなかった、それがための催促であり、不平であることを、米友はよく知っている。

「ガツガツするなよ」

彼はこう言って、用意の袋の中から、柿の実だの、栗だのを取り出して与えると、遮二無二それに武者ぶりついて、眼中に感謝もなければ、応対に辞儀もない。