Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
かくて、「玄関の松」の大木の下は、棄てられた児の天地に向って号泣の場所となりました。
五十五
一口に、ここで「玄関の松」と言ってしまっているけれども、この大通寺の玄関の松もまた、歴史ある玄関の松で、普通の寺院の庫裡の前の車廻しや風よけと見ては違う。これも一世の英雄、羽柴秀吉の長浜城の中にあって、秀吉がこの松の木に鎧をかけたというところから「鎧かけの松」と名をつけられていたし、厳如上人はまたこの松をなつかしがって、「昔の友」と呼んだくらいですから、なみなみならぬ由緒を持っている。前の大手門を、台所門として移したと同時に、この松もここへ移し植えられている。高さ五丈五寸、枝張五十三間を数えられる玄関の松なのです。
大通寺の境内は広く、規模は大きく、その中に本堂があり、表門があり、裏門があり、庫裡があり、書院があり、経蔵があり、鐘楼があり、鼓楼があり、盥漱所があり、香部屋があり、蘭亭があり、枕流亭があり、新御殿があり、土蔵があり、示談講があり、総会所があり、女人講があり、茶所があり、白砂会所、二十八日講、因講までを数えると、ちょっと一息には言えない建物があるのですから、その一角で、この深夜、ひとり捨てられた人の子が、全力を尽して号泣していたところで、いずれの隅まで反応して人の眠りを驚かすか、甚だ