Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
挙動そのものから言えば、まさに狂人と銘を打ってもよろしいが、単に夜中に巷を走り、木に登るからといって、それが全く狂人だと断定してしまうのは少し早計です。烈しく人を憎み呪うがために、行動の一部分だけが狂人化したのみで、身心そのものが全部狂うているとは誰しも言いきれないのは、こういう行動をとる女が――いつの世にも、相当に身分もあり、賢明でもありながら、ついにこの種の行動から脱しきれない淑女が絶えないことです。
怖るべきは、憎悪と嫉妬です。人は、ことに婦人は、これがために生き、これがために死ぬものが多い。今、人形を取り出した女人の眼は爛々と燃えておりました。憎悪と、嫉妬と、呪詛の悪念が集中して象徴化した藁人形を取り出して、松の幹の一面に押しつけると共に、左の手でそれを抑え、右の手をまたも懐中へ入れて、新たに取り出したのは一梃の金槌であります。金槌を取り出す前に、すでに五寸釘が手の中にあったと見えて、それを藁人形の首のところへあてがうと、
「カツン」
憎悪に燃えた眼と、嫉妬に凝った繊細い腕とで、幹もとおれと打込んだ藁人形の首から、ダラダラと血が流れ出しました。