Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
「で、そのお銀様はどこにいる」
「それは知らない」
二人がまたクルリと背を向けたところへ、雲煙が捲き込んで来ました。
百二十四
愕然として眼が醒めた時に、
「ホ、ホ、ホ」
と傍らで笑いかけた声は、これは本物であって、夢ではありません。
「どうあそばしたの」
と、いつしか醒めていた女が、夜具の中から腹這いになって、短い煙管で煙を吹きながら、流し目にこちらを見ていたのです。
「ああ、うとうといい気持で……」
と、兵馬はテレ隠しをするように言うと、女は、
「何かいい夢をごらんになって……」
「いや、別段――」
と、まだ夢心地で申しわけのように言うと、
「嘘よ、いい夢をごらんになったに違いないわ」
「あんまりいい夢ではなかった」
「そんなこと、ありませんよ、ニコニコとお笑いになって、君、待ち給え、待ち給え――とおっしゃいましたわ。誰のことなんです、どなたをお呼びになったの、憎らしい」
また流し目で女が兵馬を見ました。手の届くところにいたら、膝をつねったかも知れません。
兵馬は憮然として、まだ夢から醒めきれません。
そこで、女はいい気になって、
「おかしいわね、起きて、坐っている人がうわごとを言って、寝ている人に揶揄われるんだから、世はさかさまよ」