Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
もう少し辛抱したらば、或いは要領よくそれを見届けて脱け出すことができるかもしれない。
興に駆られて七兵衛は、ついに蒲団の中を乗出してしまい、一歩一歩古畳の上をいざって、ようやくしきり戸へ近く来て、戸を楯にして透間から覗いて見ると、炉に坐っている旅人というのは、小柄ではあるが、ずんぐりして、がっちりした体格で、風合羽を羽織り込み、頭に手拭を置いて、座右へ長脇差をひきつけている。面は見えないが、その透間のない座構え、これはただものでないと七兵衛は直ちに感づきました。
一方、土間の方では相変らず、てんやわんやで、鬼を、鬼を――とさわぎひしめいている。七兵衛は、この客人なるものも気にかかるが、鬼というやつの正体をぜひ見たいのだ。そこで、ジリジリと膝が進む時、炉の横座に坐っていた件の旅人が、そのとき急にこちらを向いて、その険悪な面つき、額から頬へかけて、たしかに刀創がある、その厳しい面をこちらへ向けたかと思うと、
「おい、若衆さん、この向うの座敷にまだ誰かいるのかい」
「えッ」
「誰かいるぜ――確かに」
と言って、自分が座右へ引きつけていた長い脇差を取り上げたものですから、七兵衛が飛び上りました。