Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
せめて、この、おとなしい湖畔の町だけには、もはや再び、あの甲府城下、弥勒寺長屋時代の陰惨な絵巻を繰りひろげて見せたくはないものだ。
もう、たいがいにして、あの刀を鞘に納めさせたいものだ。そうするのが、彼の後生の幾分でもあるし、第一、この罪も報いもない北国街道筋の古い町の、何も知らない民衆が気の毒だ。
ナニ、人は斬られないが、犬が斬られた? 人間ならばたまらないが、犬ならばいくら斬られてもよろしいという理窟があるか。
犬を斬る刃は、人間を斬る刃なのだ。斬るべき人間にでくわさなかったから、やむなく犬を斬ったのだ。その惨虐の程度に於て、あえて相違があるものか。
百九十五
わが親愛なる宇治山田の米友は、こういう殊勝な慈悲心をいだいて長浜の町の夜を、ひとり物色して歩いているということは、誰も知るまい。
青嵐のいうが如く、この静かな町の中にも、富豪の圧制を憎む細民がいるかいないか。検地の代官を呪う一味徒党の片われがいるかいないか。また、水争いの公事を、この辺まで持込んで、待機の構えでいる附近の農民が隠れているかいないか。或いは尊王攘夷が、海道の主流を外れたこの辺の商業地の間にまで浸漸して来ているかいないか。