Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
「冗談を言ってはいけない、食べるためには、釜よりは米がさきだぜ、米が有っても釜がないという時には、何とか遣繰りはつくだろうが、釜がこの通りグラグラ沸き出しているのに、米がないでは、食べて行けないじゃないか」
「いえいえ、お米ばかりが食物ではございません、肉というものがございます」
「肉! 贅沢だなあ、米のない里はないが、肉はそう簡単には求められまいぜ。だが、婆さん、肉ならばお前、持合せがあるというのかい」
「はい、それはもう不自由は致しませぬ、肥え太った美肉というわけには参りませんが……」
と言ったかと見ると、婆さんはやにわに、腰に巻いた真紅のゆもじを引脱いで、真裸になったと覚えたが、身を躍らしてグラグラと沸騰する大釜の中へ、われとわが身を投げ込んでしまいました。この早業には、さすがの竜之助も、
「あっ!」
と言って見えない眼をったが、見えないはずの眼がありありと見える。釜の中では老婆の肉が盛んに煮えつつあるのです。なるほど、これは肥え太った美肉とは言えないが、骨附きの痩肉ではあるが、肉は肉に相違ない。肉の持合せに不自由はないと言ったが、なるほど、これはお手の物だから、携帯洩れのあろうはずはない。