Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
且つまた、この季麿秀才は、年に似合わぬ博学多才で、能文達識で、品行が方正で、ことに人の悪口などを言うことが最も嫌いな好学の青年でありましたから、それに張合いのある博士は言葉をつづけて言う様は、
「この世界は一つの寓話に過ぎないのですよ、釈尊は最も譬喩をよく用いました、おそらく釈尊ほど卓越した修辞家はありますまい、また、古来のあらゆる作家よりも優れた作家は即ち釈迦です、ドコの国に、あれほど優秀な譬喩の創作者と、使用者とがありましたか。譬喩は即ち寓話です、寓話は即ち子供だましです、およそ四諦十二因縁のわからぬものにも譬喩はわかります、阿含華厳の哲学に盲目なものも、寓話の手裏剣には胸を貫かれるのです。今まで私が話した話、これから私が語り出でようとする長物語を、君たちが空に聞き流さないことを望みます」
と言いますと、季麿秀才は、それに敬意ある諒解を以てつけ加えました、
「左様でございます、哲学者が訴え得られる範囲は、少数の特志家の頭脳だけにしか過ぎませんが、詩人というものは、大多数の人にも、後代の人にも、了解される特権がございます、それをことさらに縄張りをして、大衆の文学だの、少数の芸術だのと、差別なきところに差別を設ける彼等の術策を憫まなければなりません、また、左様な術策にひっかかるおめでたき民衆を憫まなければなり