Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme
もちろん、人間のことだから、機械のように固定した正確を得ることはできない点もありますけれども、観察の如何によっては、生きた気象台であり、生きた羅針台であり、生きた航路案内者となり得ることを、駒井船長が見て取ったものですから、これを観察し、これを利用することを怠りませんでしたけれども、それが評判に上ることによって、船中の要らぬ好奇心を加え、当人の鋭敏な感覚に無用な刺戟を与えてはいけないから、誰にもそのことを知らせずに、当人にのみほしいままに歌わせ、ほしいままに躍らせて、その純真性をつとめて保護して置かなければならないと思い、誰にも言わないうちに、ただ一人、お松にだけには、相当の暗示を与えて置きました。
それですから、船長が島に渡った後のお松は、船長室を守ると共に、マストの上なる茂太郎の言動挙動に、それとなく注意を払っておりますけれども、今日の茂太郎は、歌うべくして歌わないのが不思議です。陸に着いたら真先、サンサルヴァドルの歌を歌うべきはずになっていたのが歌いません。
茂太郎がこの島を歌わないということが、お松にとっては、この島が人の住むべき島でない、人が住むことに、何ぞ障壁のあるべき島だということの暗示にならないでもありません。