Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.838 Zeichen · 204 Bildschirme

Aozora Bunko

そしてこの分では、何か夜もすがらの祈りが続くかもしれない。

そこを忍びやかに立ち出でた駒井甚三郎は、次に、事務長室のところまで来て、また歩みを止めてコトコトと扉を打ちますと、こんどは明瞭な返事がありました。

「どなた?」

「駒井です」

「おお船長さま」

中にいたのはお松です。お松は事務長室の卓子の上で、今まで一心に本を読んでいたことがよくわかります。

「何ですか、この本は」

「この間、殿様からかしていただいた御本でございます」

「おお、伊蘇保物語、どうです、面白いですか」

「まことに結構な御本でございます、今までこんなおもしろい、為めになる御本を読んだことがございません。あんまり結構でございますから、つい、登様の御機嫌を伺いに行くのも忘れて、今まで夢中に拝見いたしたところでございます」

「そうでしょう、それはたしかに面白くてためになる本、わしも感心して読みました」

「もとは西洋の御本だそうでございますから、わたしはまた金椎さんの大事にしておいでなさる、西洋のお寺のお経の御本かと思いましたら、そうではございませんでした」

「中身はお伽噺のようなものだが、このお伽噺は大人君子も深く味わわなければならないお伽噺だ」