Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
ああ、忌な、こうして、わたしは幾月かするうちに、人様に隠せないようになって、自分を穴の中にでも入れておかない限りは、見る人の噂の的となるに相違ありません。
白骨の湯は、人里離れて奥深いとは言いながら、やがて、わたしはここにも身を置くことはできなくなるでしょう。
『相手は誰だ』
例のつめたい声が、もうひしひしとわたしの背後にささやかれているような気がします。
『相手は誰だ』
実に、このささやきは、わたしの頭をクルクルとさせ、心臓をつらぬいてしまいます。
けれども何とか、このささやきに、わたしが返答しない限り、その疑惑は強く、高くなる一方で、ささやきは、やがて雷鳴のように強くなり、疑惑は海のように深くなるばかりです。
ですけれども、弁信さん、わたしには全く覚えがありませんのよ。
覚えのないことは、言われないじゃありませんか。
言われなければ言われないほど、人様は勝手な評判を作るでしょう。
ついに、わたしは相手の知れない父なし子を生んだ、手のつけられないみだらな女として、人の冷笑の中に葬られてしまわねばならないが、それよりも不幸なのは、この子が……わたしに子供なぞは有りゃしません、妊娠でないことは確かですけれども、もしかして、父なし子の運命を以て世に生れた子供……この子供の不幸に比べたら、わたしの不幸などは、言うに足らないものかも