Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
を、山田仁右衛門のそれと比べると違いますよ、われわれは王にならんがために外国へ行くのじゃなく、農にならんがために行くのです」
「いいですとも……それでも結構ですよ。その場合には、拙者も筆をなげうって、鍬をとる位は雑作ありません」
「筆をなげうつ必要はありませんね、食物を土から得て、その次に、自分の天分を思うさま発揮してみたいじゃありませんか」
「なるほど」
「あなたは絵筆を持ちながら、そういうことをお考えになったことはありませんか、つまり、衣食のことをです」
「衣食のこと……? それを考えないでおられるものですか、これでも、妻も子もある男ですからね」
白雲は、まじめに言う。
「要するに衣食のためですね……主人につかえれば、主人より衣食を受くるむくいとして、自分の自由を犠牲にすることもあるでしょう、衣食のために、心ならずも、美術を売り物にするという心苦しさもないではありますまい」
「ありますとも、大ありでさあ」
白雲の磊落に答えたのが、しおらしく聞える。
「だから、どうも、人間は衣食を土から得ていないと、本当の自由が得られないようです。自由のないところでは、生きた仕事はできませんからね。