Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
その時に、以前の雲衲の一人は、長い火箸で燼の火をあやしながら、
「左様でございますよ、天性あの人はああいう人でありました。宇津木文之丞さんとの試合以前、つまり、トビ市を殺してから後の壮年時代にも、いま考えてみれば、山遊びに行くといって、幾日も帰らないことがありました。その前後、よく街道筋に辻斬の噂なぞがありましたが、いま思い合わせてみると、あの山遊びは、つまり辻斬をしに行ったのではなかったでしょうか……ですから、あの人の一番最初の不幸は、お父さんの病気でありまして、次にガラリと変ったのは御岳山の試合の前後……あれは文之丞さんが相手ではありません、あれをああさせた裏には、悪い女がありました」
「うむ……」
「お聞きになりましたでしょうな。あれだけは今以て、わたしたちにも不思議でなりません。本来、竜之助さんという人は、女に溺れる人ではなかったのです、剣術より以外には振向いて見るものもなかったのに、あの女が来て、それからあんなことになりました。どっちが先に、どう落ちたのか、その辺がいっこう合点が参りませんが……いい女でした。それはたしかに、知っていますよ。