Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
それほどにはやつれが見えない。あたりまえの若い娘、ことになかなかの美人である。それと、ねまきを着ているわけではないのだが、これは本式に寝台に横たわっているとはいえ、やはりうたた寝の種類に違いない。
そうしてみると、この国は、よくうたた寝をする国である。毎日一定の時間には、必ず一定の昼寝をするように定められているのか知らん、と、闖入者は疑ったのではあるまい。思いがけないところに、思いがけない異性を発見したものだから、その好奇心が、極度に眩惑されてしまったものと見える。
だが、好奇心というものは、もとより事を好むものであります。事がなければ、そのまま消滅してしまうものですが、事がありさえすれば、いよいよ増長して、ついに、罪悪の域まで行かなければとどまらないものであります。それを引きとどめるのに、自制心がある。それを奨励するものに、アルコールがある。
今や、このウスノロ氏には、自制心が眼を閉じて、アルコールが活躍している時だからたまりません。
「エヘヘヘ……」
と忽ち薄気味の悪いえみを催しながら、おもむろにこの寝台へ近づいてみました。
この際、美しい女でなくとも、単に異性でありさえすれば、好奇心を誘惑するには十二分でありますが、不幸にして、寝台の上なる女は、浮世絵の黄金時代に見る面影を備えた美しい女でありました。