Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
ことほどに、自分の持場を荒されて、全然それに気がつかなかったということは、損害の問題ではなく、自分の職務の、責任の問題だという顔をして、それでも差当りの急は、悔いているよりは働かなければならぬ、とりあえず差迫った晩餐の復興を、根本的にやり直すことに全力を注がなければならぬという気持で、悲痛と、憂愁の色をたたえながら、料理場の中をしきりに奔走しているのです。金椎の耳には、ただ今、この隣室で行われた大活劇もはいらなかったものと見える。
そこへ、田山白雲が顔を出したものですから、金椎は申しわけのないような顔をする。
ただいま、泥棒がはいってこの通りでございますと、訴えれば訴えられるのをこの少年は、無言でただ、申しわけのない顔だけをして、一心に働いている。
「金椎君、何かやられたかい、こいつに……?」
白雲はこう言ってみたけれど、金椎の耳には、それが用をなさないと気がついて、例の料理法の憲法の下へ、有合せの筆を取って、
「洋夷侵入、白雲万里」
と書きました。洋夷侵入はわかっているが、白雲万里が何の意味だかわからない。
駒井甚三郎も、この時、室内に入り来って、被害の実況をよく調査する。