Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、兵馬のこの心づかいも忽ち無駄になってしまい、女ははからず目をさましました。

目をさました当座は何でもなかったが、枕ざわりが変だと、それから気がついたのでしょう、急に飛び起きて、

「あら!」

その驚き加減というものはありません。

これは気の毒なことをした、と兵馬をしてヒヤリとさせたほどです。

「まあ、わたし、どうしましょう?」

飛び起きて、そこに脚絆をつけているところの兵馬を見る。

「まあ、どうして、わたし、こんなところへ来てしまったのでしょう?」

「ハハハハ……」

と兵馬が笑う。女は笑うどころではない、唇まで蒼くなっている。

「御免下さいまし、ほんとうに済みません」

「いや、いいですよ、ごゆっくりお休みなさいまし」

「存じませんものですから……」

女は飛び起きて、なりふりを直しにかかると、兵馬は、

「みんな、大へん心配したそうですよ」

「ああ、わたしとしたことが……つい酔ったものですから、あなた様にも、どんな失礼をしたかわかりません」

「不意にここへ君が来たものだから、多分、部屋違いだろうと思って、帰るように忠告したのだが、君がきかない」

「ああ、悪うございました」