Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
大悟十八遍、小悟その数を知らずと、東妙和尚もよくいうことでありますが、今のところは、ほとんど逆転の憂いがないと見なければなりません。
さればこそ与八のわからないお経も、ようやく妙境に入って、聞く人をしておのずから、神心を悦嘉せしむるのかも知れません。
しかしながら、こんな悦楽が、人間世界の夜の全部を占領するのは、悪魔の世界のねたみを受けるには十分であると見え、暫くして、この悦楽の世界が、忽ちにしてかきみだされたのは是非もないことでしょう。
「与八さん、エ、与八さん、エラク御精が出るじゃねえか、いいかげんにしなよ、いいかげんにして寝なよ、身体も身のうちだ、そうひどく使うもんじゃねえよ、ちっとは、身体にも保養というものをさせてやらなけりゃ毒にならあな、いいかげんにしなよ、え、ヨッパさんたら、ヨッパさん」
経文を誦しながら藁を打っている与八の境涯をかき乱した声が、お松のところまで手に取るように聞えたものですから、お松もハッとして苦い心持になりました。
「いいかげんにしなよ、いいかげんにして、一ぺえ飲んで寝なよ……」
しつこく与八のそばへすりよって、とろんとした眼を据えている酔いどれの姿を、ありありと見る気持。