Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
上古の、四道将軍時代の絵に見るような鎧をつけた髯男が一人、巴の紋のついたつづらを横背負いにして、馬をあおってまっしぐらにこちらをめがけて走らせて来るのです。
おかしい! 夷が今時、何の用あって、この街道を騒がすのだ。しかし、それは、やっぱり以前の長持と同じように、ある神社の祭礼の儀式のくずれだろう――と見ているうちに、馬も、人も、隠れてしまいました。
だが、あの古風な、四道将軍時代を思わせるような鎧はいいが、調和しないのは、あのつづらだ。あれがあまりに現代的で、調和を破ることおびただしい。祭礼の帰りに、質を受け出して来たのではあるまい。同じことなら、もう少し工夫がありそうなものだ。もう少し故実らしいものを背負わせたらよかろう……と、よけいなことながら、そんなことまで、兵馬の頭の中をしばらく往来している時に、
「はい、御免なさいよ」
気がつかないでいた、今の先、その緩慢ぶりにひとり腹を立って追いぬいて来た、あの悠々閑々たる長持が、はや兵馬の眼の前へ来て、道を譲らんことを求めているではないか。
このまま立っていると、やはりこの長持にさえ道を譲らねばならぬ。