Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
その時分には、おれも眼が明いていたのだ。あの里の太夫というもの――京美人の粋といったようなものにも、おれだって見参していないという限りはない。
さあ、それがどうした。
東男を気取ったやからが、かなりいい気な耽溺をしていたたあいなさ。
まあしかし、そのたあいないところが身上だ、少しの間でも溺れ得る人は幸いだ、売り物の色香にさえも、つかのまでも酔い得る間が、人生の花というものだな。
おれは酔えない――おれは溺れることができない。
不幸だ、この上もなく不幸だ。
竜之助は、朱羅宇でも、金張でもない、ただの真鍮の長煙管で、ヒタヒタと自分の頬をたたきながら、我と我身を冷笑するのは、今にはじまったことではありません。
その時です、ちょうど、この室から幾間かを隔てた――多分三階ではありますまい、二階の菖蒲の間あたりでしょう。そこで、
「デーン」
と張りきれるような三味線の音がしました。眼の働きを失って、しかして、耳の感覚が敏感になったというのみではなく、こんな静かなところで、思い設けぬ音を聞かされた時は、誰だって耳をそばだてます。
いわんや、それが引きつづいてかなりの手だれな調子で、デンデンデンデンと引きほごされてゆくと、机竜之助の空想もその中に引込まれて、