Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
しかし――という余地はないはず。その切れ味の鈍いところが、それがいけない。
よろしい、去る者は追えない。拗ねる者をあやなす引け目もないはず。
一処にその未練を残すから、万処がみな滞るのだ。
進むに如かず――さりながら、兵馬は一つところを歩いているような心持で、月明を松本平に向って下って行くのです。
鶏がないた。何番鶏か知らないが、もう夜明けの時だ。
ふと、馬の高くいななくのを聞いた。
馬――暫くぼんやりしていて、ハッと気がついたように、その馬のいななきの方へ、桑の畑を分けて進んで行くと、とある農家の厩の前に、童がしきりにかいばをきざんでいるのを見る。
「お早う」
「お早うございます」
「済まないがね、君」
「はい」
「少し馬を頼みたいのだが」
「この馬は、等々力へ豆を取りに行く馬でございますが」
「そこをひとつ折入って頼むのだ、有明明神のところまで……」
「明神様までなら、そんなに遠くはねえのだが……」
「うむ、ちょっとの間だ、そこへひとつ馬を連れて行って、多分、あの辺に、旅に疲れた女の人が一人いるはずだから、それを馬に乗せてつれて来てもらいたい」
「ここまで連れて来ればいいのかね」