Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「来たな……」
来たのは女だ……と思いました。それは今まで頭の中にこびりついていた元のなじみの女の顔だか、それとも馬を以て迎えにやった、かりそめの道中づれの女だか、ちょっと、兵馬の頭では混乱しましたけれども、来たのは、まさに女に違いない――と兵馬は、バネのようにはね起きました。
バネのようにはね起きなくとも、むしろこの場は、来ても、来なくてもいいように、悠然と横になっていた方が形がよかったかも知れないが、兵馬はとにかく、バネのようにはね起きてから、自分の軽挙を、多少にがにがしいように思い直し、わざと落ちついて、のれんの方を見ると、ほとんど音もなくはいって来たにははいって来たが、それは女ではありませんでした。
女でないのみならず、男のうちでも筋骨のたくましい、風采のいかめしい、面構えのきかない、そのくせ、はいり端に兵馬と面を見合せて、ニヤリと笑った気味の悪い武芸者風の壮漢でありました。
「やあ、仏頂寺」
バネのように起き直った兵馬がそれを見て、驚愕と、苦笑とを禁ずることができません。
「宇津木、ここにいたのか?」
仏頂寺の後ろには、影の形におけるが如く、丸山勇仙も控えています。