Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
それからの仕事は着物をぬいでしぼって、それを卒塔婆の火であぶることです。
般若の面は相変らず、頭の上へのせて着物の一切を脱いでいるから、これも素裸であります。
そこで、着物を乾かしながら、自分の身体をあたためながら、いいあんばいに、おあつらえ向きに火が燃やされてあったことに、少なからず感謝の念が湧いてみると当然、この火は、いま、丸くなって逃げて行った海のおばさんの焚き残した火だとさとって、その感謝の念を、右のおばさんのところへ持って行かなければならないと思いました。
しかるに、そのおばさんは、何だって、ああして丸くなって逃げて行っちまったんだろう。人が助けを呼んだも同然なんだから、むしろ進んで助けに来てくれてもよかりそうなものを、いち早く逃げ出した気が知れない――と、茂太郎は、自分のいただく般若の面の威力を知らないものですから、海女の挙動を不審なりとしました。
竹木をいいかげんに組み合わせて、物干台をつくり、それに着物をあんばいして乾かしている間に、茂太郎はふと、その袂から蘆管を探り出しました。いいものを見つけたとばかりに、その蘆管をとって、火にあたりながら吹きはじめました。