Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
なにしろ、日本は周囲がみな海ですからね、魚類において恵まれているのは当然で、それを利用することを忘れては、天地の化育にそむくというものでしょう。ところで、その日本にすむ魚は、何種類ありましたっけね」
「おおよそ二千種、そうして、その半ば以上は食べられます」
「二千種類、非常なものですね、我々の粉本の中に納められているものは……何種あったか、ちょっと忘れたが、九牛の一毛だ」
その時、夜の外の窓口に、あわただしい人声があって、
「番所の先生、先生――大変でございます、塔婆の浜へ海竜が出ました」
「海竜!」
「はい、海竜が出ました、角を二本生やした、こんな怖い顔をして、お杉のあまっこを追っかけて来たのを、命からがらで逃げて来やんした」
窓の外は、けんけんごうごうとして、潮のわくような騒ぎであります。
駒井甚三郎も、田山白雲も、そのあまりな仰々しさに、立って窓を開いて見ると、漁師ども十数名、中に裸体で着物をかかえた海女を一人とりかこみ、いずれも恐怖と、狼狽の色を、面に漲らしている。
「どうしたのだ」
「海竜が出ましたよ、海竜が」
「海竜とは何だ」
「角を二本生やした海竜が、おっかない面をして、海を泳いで、このあまを追っかけて来やんして、すんでのことに……」